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 落語家の五代目桂米団治さんの噺家(はなしか)生活40周年と還暦を記念する独演会が17日夜、金沢市昭和町の石川県立音楽堂邦楽ホールで開かれた。約650人の観衆の前で、米団治さんは上方落語の悲恋物語「たちぎれ線香」を披露し、艶(つや)のある円熟の高座で魅了した。

 出演を重ねてきた舞台で「金沢は私の心の大きな糧でございます」と述べた口上から始まった独演会。弟子の桂米輝さんの「ちはやふる」に続き、芝居噺「七段目」を1席目に選んだ。名優の物まねを交えた歌舞伎「勧進帳」の一幕で拍手を呼び、商家の2階で歌舞伎役者に本気でなりきる若旦那と丁稚(でっち)の世界を華やかに演じた。

 中トリを務めた柳家花緑さんの「火焔(かえん)太鼓」、金沢大出身の桂まん我さんの「時うどん」の笑いの多い軽やかな高座の後、「たちぎれ線香」を最後にかけた。芸者・小糸に夢中になるあまり、蔵に100日間閉じ込められた若旦那が再会のため走って向かうと待っていたのは小糸の死。この切な過ぎる恋の物語を力み過ぎず演じた。花柳界に生きる女性の気丈さと仲間意識も迫る高座で、三味線奏者・浅野美希さんの地唄「雪」がしっとり響くなか、小糸への永遠の愛を誓う若旦那の姿が涙を誘った。(篠塚健一)