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【まとめて読む】患者を生きる・食べる「シガテラ」

 磯からの大物釣りが趣味の福井県に住む渡邉邦鋭(わたなべくにえい)さん(56)は、仲間が釣ったイシガキダイを刺し身や鍋にして食べました。楽しい宴が一転、冷たい物に触れると顔や指先がビリビリと痛む温度感覚の異常に、約1年間も苦しみました。原因は「シガテラ」という食中毒でした。

 

釣果を堪能、直後に吐き気

 福井県坂井市の渡邉邦鋭(わたなべくにえい)さん(56)の趣味は磯釣りだ。狙いは「底物」と呼ばれ、強烈な引きが魅力のイシダイやイシガキダイ。イセエビやサザエ、ウニをエサに使う、釣り人あこがれの魚だ。

 特にイシガキダイは、成長すると口の周りが白くなり「クチジロ」とも呼ばれるが、なかなか釣れず、一般にも流通していない。

 この魚を、釣り仲間が2006年11月、東京・八丈島で釣り上げた。福井市内の居酒屋に持ち込み、釣り談議に花を咲かせることになった。

 11月7日、渡邉さんや友人の木林博之(きばやしひろゆき)さん(60)らが集った。「頭がおいしいんだ」。釣った人に勧められ、渡邉さんたちはイシガキダイの鍋料理や刺し身に舌鼓を打った。楽しい会だった。

 ところが翌8日未明、自宅で寝ていた渡邉さんは、激しい吐き気と腹痛に襲われて目覚めた。尋常でない様子を心配した妻ゆかりさん(55)の運転する車で、永平寺町の福井大学病院に向かった。

 「食中毒でしょう」と医師に言われ、嘔吐(おうと)や下痢による脱水を防ぐため点滴を受けた。後でわかったが、渡邉さんや木林さんら、前夜に一緒に食べた7人中5人が同様の症状に苦しんでいた。

 居酒屋の食事を疑い、病院で便の検査や血液検査も受けたが、原因はわからなかった。

 数日後、奇妙な痛みを感じるようになった。水や床に触れたり、外で風に吹かれたりすると、手足や顔の表面がビリビリ痛むのだ。

 「何か変だ」。渡邉さんはパソコンに「痛い」「魚」「食中毒」などと入力し、インターネットで検索を繰り返した。

 偶然、「シガテラ」という病名が目にとまった。沖縄県のウェブサイトに説明があった。読み進めるうち「これだ」と思った。シガテラは熱帯や亜熱帯のサンゴ礁域で「毒化」した魚を食べることで起きる食中毒。主な症状に手足などの温度感覚の異常「ドライアイスセンセーション」がある。

 亜熱帯の八丈島で釣れた魚、冷たいものに触れると感じる痛み。自分の状況とぴたりと一致した。聞いたことのない病名に「治るんだろうか」と不安がこみ上げた。

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