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 中高校生の生理痛について、生理がはじまって間もないし、体がまだ十分に発育していないから、「痛くて当たり前」などと考えている方はいらっしゃらないでしょうか。

 私は中高生の頃に生理痛がひどかったため、「生理=毎月くる嫌なもの」であり、特に試験や旅行などに重なるたびに、「女性にうまれて損だ」と思っていたくらいでした。

中高生の約8割「勉強や運動に影響」と回答の調査も

 2016年にスポーツ庁の委託事業として、特定非営利活動法人日本子宮内膜症啓発会議が実施した「子供の体力向上課題対策プロジェクト」において、中学・高校の女子生徒計608人を対象に実施したアンケートの結果によると、約80%の生徒が「生理に関して勉強や運動に影響するほどの症状がある」と回答しています。そして、約70%の生徒が主な症状として「生理痛」を挙げており、そのうち半数以上が「生理痛を我慢している」と回答しました。

 日常生活に支障をきたすようなひどい生理痛のことを「月経困難症」と言います。その原因は大きく分けて二つあります。一つは、特にこれといった病気が原因ではなく、生理のときの子宮の収縮が強いために起こる機能性月経困難症で、もう一つが、子宮内膜症などの病気が原因となる場合です。いずれも治療が必要な状態です。

 月経困難症は、子宮内膜症という病気の予備軍と言われています。子宮内膜症は本来子宮の中にあるべき子宮内膜と似た組織が、子宮以外の部分で増殖してしまう病気です。本来の子宮内膜は生理として体の外へ排出されますが、子宮内膜症の組織は排出される場がないために血液がたまってしまい、炎症や周りの組織との癒着を引き起こし、痛みや不妊をもたらします。

 一般的に、中高校生の月経困難症は機能性月経困難症であることが多いのですが、たとえ今はこれといった病気が原因でなくとも思春期に月経困難症を経験していた人は、経験しなかった人に比べて2・6倍子宮内膜症になりやすいことが、海外の調査で分かっています。

 生理痛は、痛みの元となるプロスタグランジンという物質が影響します。排卵後に増殖した子宮内膜からつくられ、プロスタグランジンの量が過剰になると子宮が過度に収縮するため、生理痛は強くなります。

鎮痛薬、痛み出る前の服用を

 月経困難症の治療としては、鎮痛薬で痛みの原因物質であるプロスタグランジンが作られないようにする方法と、排卵をとめて子宮を休めることで、プロスタグランジンを減らす低用量ホルモン薬を用いたホルモン治療があります。また、体質改善をはかって生理痛を和らげる効果がある漢方薬も効果がある場合もあります。

 鎮痛薬は、市販薬でも構いません。痛みの原因物質であるプロスタグランジンができる前にのむのが有効な内服方法ですので、痛みが出る前に内服するのがポイントです。低用量ホルモン薬は、月経困難症の根本的な治療法であり、月経困難症や子宮内膜症の悪化を抑えることができます。

生理痛「我慢しないで」

 「生理痛は誰にでもあるから我慢するもの」では決してありません。毎月やってくる生理痛のために勉強や運動、楽しみにしているイベントに支障がでてしまっては、大変です。

 早めに対処することで、生理のときもふだんと変わらぬ学校生活を楽しんだり、将来の子宮内膜症などの病気のリスクを減らしたりすることもできます。特に鎮痛薬が効かないような強い痛みがあるような方は、早めに婦人科で相談することをお勧めします。

<アピタル:弘前大企画・男性も必読! 産婦人科医が語る女性の一生>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/hirosaki/(弘前大学大学院医学研究科産科婦人科学講座講師 福原理恵)