[PR]

 名古屋都心に高価格帯の食パン専門店が続々登場している。たまには、ちょっと贅沢(ぜいたく)したい消費者の気持ちをくすぐるように数キロ圏内に店がひしめく。「主戦場」は中区の伏見地区。1斤1千円する高級食パンもある。

 地下鉄伏見駅近くで4月19日に開店したのは「銀座に志(し)かわ」。昨秋から東京や関西などに出店し、初めて愛知県に進出。扱うのは1本(2斤)800円(税別)の食パンのみ。アルカリイオン水を使い、素材のうまみを引き出したという。もちもちした食感で、夕食や和総菜と味わう食べ方も提案している。高橋仁志社長(51)は「(敷島製パン、フジパンという)2大メーカーのある名古屋で通用するか試したかった。激戦区で選ばれたい」。

 名古屋発の「い志(し)かわ」も同日、伏見地区に5店目を出店した。2斤1千円(税込み)と、水にこだわった1斤1千円(税別)の高級食パンを扱う。2斤買った男性会社員(24)は「普段はスーパーで買うが、おいしそうで気になった」。広報担当者は「はちみつやマーガリンは入れないので自然な甘みと小麦の香りが引き立つ」。高級感ある紙袋を使い、進物用に買う人も多い。結婚式の引き出物やゴルフの土産といった大口受注もある。

 食パン専門店では、大阪発祥の「乃(の)が美(み)」が2015年5月、白川公園近くの栄地区に出店。1本800円(2斤、税別)だが、昼過ぎまでに800本以上が売れる。16年11月には、鬼まんじゅうで知られる浪越軒の会社が「フルール ドゥ リュクス」を伏見に開業。北海道産小麦を100%使用し、1日に400~600本売れる。今年3月には改装した松坂屋名古屋店南館にも専門店「ポール・ボキューズ・キャレ」が出店し、焼き上がりに合わせて行列ができる。

 総務省の家計調査によると、1世帯(2人以上)あたりの食パン購入数量(16~18年平均)は名古屋市が24・9キロと都道府県庁所在地と政令指定都市の中で1位。購入額は18年、1万589円だった。名古屋の食に詳しいフードライターの永谷正樹さんは「たまには高価格なものも食べたい消費者の心をつかんだ。普段口にする食パンは味の違いがわかりやすく、1千円程度ならなんとか手が届く。通勤者の多い地域を狙って伏見への出店が目立つが、今は過渡期。店は淘汰(とうた)されると思う」と話す。(斉藤明美)