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 地方議員のなり手不足が進むなか、大阪府堺市から移住して39歳で議員になった男性が宮崎県高千穂町にいる。なぜ議員を目指したのか――。

 高千穂町議の板倉哲男さん(40)。Iターン移住で地域おこし協力隊を2年4カ月務めた後、2年前の2017年の町議選で初当選した。

 町役場から徒歩約5分。板倉さんは、オフィスを持たない起業家や個人事業者らが仕事場として利用する「コワーキングスペース」の2平方メートルほどの一画を個人事務所として使っている。「町全体の活性化に取り組む仕事が何かと考えたとき、議員の仕事にたどり着いた」

 大阪府堺市出身。大学卒業後、福井県での農業研修やアフリカでの青年海外協力隊、老人ホームや会社勤務を経験。4年前の春、高千穂町の地域おこし協力隊に応募し採用された。取り組んだのは農業の情報発信だった。地元の生産者と地域内外の消費者をつなぐため、申込制の食べ物付き情報誌「高千穂郷食べる通信」を創刊した。

 自身も農業就業を目指してきたこともあり農業に関われる仕事は充実していた。だが、人口減少が進む地域の現状に限界も感じていた。「農業を活性化するには子育てや教育、観光や商業など地域全体の底上げが必要だ」。そうしたことに取り組める仕事と考えたのが政治だった。

 最長で任期3年の地域おこし協力隊を3年目途中で辞め、町議を目指した。大阪にいたころ政治は縁遠かったが、高千穂では町おこしの会合に呼ばれて議員と意見交換するなど存在を身近に感じていたことも決断を後押しした。

 17年9月の町議選は定数13に対し17人が立候補し、8年ぶりの選挙戦となった。知名度や人脈はなかったが選挙戦では数多く街頭で演説し、「町民に開かれた議会にしていく」と訴えた。結果は524票で7位当選。地元選出の緒嶋雅晃県議は「まさかあれだけの立派な票を取るとはびっくりした」と話す。

 町議会は13人のうち11人が50代以上で、40代以下は板倉さんを含めて2人。女性議員は3人。「多様な世代がいて男女比もバランス良くというのが理想だと思う」

 SNSやブログを活用して議会のことを知ってもらうことに力を入れている。「議会だより」を作るなど、SNSやブログを見ない人にも情報を届けたいと考えている。

 「政治についての啓発も議員の仕事の一つ。ごみの回収や学校教育など身近な事柄が政治と深くつながっていることを啓発していきたい」(伊藤秀樹)

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きょう投開票

 統一選後半戦で選挙戦となった5市議選、1町長選、9町村議選は21日、投開票される。