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【アピタル+】患者を生きる・食べる「色の区別がつかない」(最新の研究)

 生まれながらにして色が区別しにくい人は、男性で20人に1人、女性で500人に1人とされています。滋賀医大病院(大津市)で色覚外来を担当する岩佐真紀医師(34)に最新の研究をふまえ、色覚について聞きました。

 ――なぜ男性と女性で色が区別しにくい人の割合が違うのですか。

 人の目には、正確には、L、M、Sという3種類の細胞があります。Lはオレンジに近い赤を、Mは緑を、Sは青を感じやすい細胞です。赤と緑の細胞の元になる遺伝子は、「X染色体」という性染色体にあります。女性はX染色体を2本持っているため、赤と緑の遺伝子も2つずつ持っています。片方の遺伝子が正常であれば赤と緑を見分けられます。ところが男性はX染色体を1本しか持っていません。男性の割合が多いのはそのためです。

 ――なぜ赤と緑の細胞なのでしょうか。

 青の細胞の元になる遺伝子は、赤と緑の遺伝子とは別の染色体にあります。青の細胞の機能が先天的に失われている人は男女関係なく、数万人に1人の割合とされています。

 ただし、青の細胞は赤と緑の細胞と比べて数が少ないので、後天的な影響を受けやすくなり、白と黄色の区別がつきにくくなります。

 ――色覚についての研究は進んでいるのでしょうか。

 赤と緑の区別のつきにくさの程度も人それぞれです。その理由は、赤と緑の遺伝子が組み合わさった「ハイブリッド型」の遺伝子を持っている人がいるからです。赤の遺伝子はないけれども、赤と緑のハイブリッドを持っている人はいます。

 ところが、滋賀医大で先天性の日本人男性を調べたところ、見え方の検査では赤と緑が区別しにくいと判定されているのに、赤と緑の遺伝子に異常が見られない人が多くいることがわかってきました。脳が色をどうやって認識しているかという研究も進んでいますが、まだはっきりとわかっていないことが多いです。

写真・図版

 ――色覚外来にはどのような人が相談に来ますか。

 学校の健診で異常を疑われた小学生が多く来ます。子どもにとっては日常生活での困り事はほとんどありません。まだ料理を積極的にする年齢ではないので、食事でもあまり困っていません。低い年齢の子どもで受診に来る場合は、色の間違えがよく起きたり、虹や桜を見た時の感動が薄かったりすることに親が気付いて受診につながるケースが多いです。

 小学校での色覚検査が行われていなかった時期があり、今まで一度も検査をしていなかった人が、「就職して初めて色がわからなかった」と相談に来ることもあります。

 ――日常生活での注意点はありますか。

 色覚外来に来る子どもには、「色に関して困ったらまわりに聞いてね」と言っています。信号の色など、多くのことは経験で学ぶことができますが、教科書や地図がわかりにくいという相談はあります。子どもにとっては、日常生活での困り事はほとんどありませんが、見え方の特長を知っているか知らないかで、色を間違える頻度は減ります。自分の特性を知ってもらうようにしています。

 また、印刷業など微妙な色の区別が求められる職業はまだあります。色覚について相談できる眼科は増えています。できるだけ自身の見え方を知っておくことは必要だと思います。

 

 ◇ご意見・体験は、氏名と連絡先を明記のうえ、iryo-k@asahi.comメールするへお寄せください。

<アピタル:患者を生きる・食べる>

http://www.asahi.com/apital/special/ikiru/(聞き手・後藤一也)