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 手話と音声言語の両方を使わなければ、謎は解けない――。聴覚障害者と、耳の聞こえる「聴者」が協力して挑戦する「脱出ゲーム」が注目を集めている。発案したのは、ろう者の女性。「ゲームの力で、色々な人とコミュニケーションを取ってみたい」という思いがこめられている。

 4月中旬の土曜日、那覇市内の専門学校に次々と人が集まった。校舎はこの日、聴覚障害者と聴者が3人ずつで一つのチームを作って挑戦する「異言語脱出ゲーム」の会場だった。チームのメンバーはほとんどが初対面同士。メモ用紙に名前を書いて自己紹介し、身ぶり手ぶりを使った会話がぎこちなく進む。

 でも、ゲームが始まると、悠長なことはしていられない。制限時間は60分。「夜の海で秘宝を探す」という設定でクイズやパズルを解いて部屋を「脱出」し、会場の中から宝を見つけなければならない。

 クイズやパズルは、「音声言語」の日本語だけ、あるいは「視覚言語」の手話だけでは、出題内容さえわからず、回答もできない。「○○って手話はどうするの?」「ヒントではなんて言ってた?」。正面に向かい合い大きくゆっくり口を動かす。机に置かれたメモ用紙は、すぐにやりとりでいっぱいになった。

 やりとりを重ねて謎を解いた時の喜びはひとしおだ。千葉県から姉妹で参加した真坂奏衣(かなえ)さん(18)は「思っていたよりお互いの言いたいことは伝わりました!」。ろう者で那覇市の阿原(あはら)祐子(さちこ)さん(48)は「与えられた条件は平等。相手に伝えよう、思いを理解しようという気持ちで、成功できて感動した」と顔をほころばせた。

 ゲームを考案した菊永ふみさん(33)も会場で参加者の様子を見守り、時折手話でヒントを出していた。ろう者の菊永さんは大の脱出ゲーム好き。4年ほど前、聴者と一緒に参加し、身ぶりでコミュニケーションをとりながら謎を解いた時、「私も役に立てたことがうれしかった」と振り返る。

 都内の聴覚障害児入所施設「金町学園」に勤務する菊永さんは当時、スイス金融大手・UBSの社員と施設の子どもの交流会を担当していた。社員と子どもが、手話を習う時間はやりとりをしても、昼食になるとすっと離れて座る様子が、気がかりだった。

 目標に向けて一緒に協力する機会があれば、変わるのではないか。脱出ゲームでの経験を園長に話すと「おもしろそうじゃない! やってみたら?」と返事が来た。試作した問題を体験したUBS社員から助言を受けながら、「異言語脱出ゲーム」が生まれた。

 構想当初から社内外向けのゲーム開催などに関わってきた、UBSのアジア太平洋地域の社会貢献活動責任者の堀久美子さん(44)は「障害のある人を、自分たちにはない力を持っていると考えてほしい。ゲームは、それを知るための圧倒的な体験になる」と話す。

 菊永さんは「ゲームをさらに広…

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