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 茨城県内で長年行われていながら、実態がよく分かっていない夏の行事「盆綱(づな)」について、県教育委員会の調査が始まった。担い手となる子どもの減少で近年、急速に行事が行われなくなっているといい、全体像を記録に残すため、県教委は実施状況や行事内容を3年かけて調べ、報告書をつくる。

 盆綱は、子どもたちがお盆の時期に、わら綱を引いたり、担いだりしながら先祖の霊を送迎する習俗。わら綱は竜や蛇を模しているとされ、先祖の霊をよりつかせる「憑依(ひょうい)もの」として扱われることが多い。

 代表的なものだと、子どもたちは8月13日の迎え盆にわら綱を引いて墓地に行き、祖霊をよりつかせた後、集落の家々を回って降ろしていく。15日の送り盆は逆の手順で巡る。一部地域では、盆綱で綱引きをするところもあるなど内容は地域ごとに異なるが、文化庁によると「体系だった調査をされたことはなかった」という。

 同庁によると、盆綱が残っているのは茨城・千葉の両県と九州北部だけだ。貴重な習俗として、2015年3月には「東関東の盆綱」として、記録作成などが必要な国の無形民俗文化財に選ばれている。

 県教委が予備調査として同年から市町村教委に実態を尋ねたところ、過去を含めて実施が確認できたのは103地域で、そのうち現在も続いているのは51地域だけだった。比較的残っていたのは、つくば市、小美玉市、茨城町、阿見町で、県北や県西の自治体は「ない」と回答している。

 県教委は現在も行事をしている中から、15地域を選定して詳細な調査を行う。そのほかの地域も、準備状況や祖霊の送迎方法、かけ声、綱の扱いなどを記録に残す。24日に開いた調査委員会の初会合では、筑波大大学院の徳丸亜木教授(民俗学)を委員長に選んだ。

 県教委は、予備調査では報告のなかった地域でも、行事が残存している可能性があるとみて再調査する予定だ。文化課の担当者は「地域文化を考える上で大変重要な行事。調査や聞き取りで全体像を明らかにしたい」としている。(重政紀元)