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 東京・池袋で19日、87歳の男性が運転する車が暴走して自転車の母子が死亡し、けが人も多数出した事故は衝撃と共に、高齢者が運転するリスクを改めて世間に知らしめた。75歳以上の運転免許保有者数が全国3位という埼玉。高齢ドライバーを巡る県内の現状を取材した。

 「年を取ってくると動体視力が落ちるので、速度を落とさないといけません」

 埼玉県鴻巣市の運転免許センターでは、高齢者の免許更新時に義務付けられている高齢者講習が日々開かれている。講義のほか実車指導もあり、危険予測などの知識を教えている。

 県警運転免許課によると、埼玉は75歳以上の免許保有者数が昨年末時点で約29万人と、愛知と東京に次いで全国で3番目に多い。2023年には約41万人に、さらに28年には約51万人にまで増える見込みだ。

 17年3月施行の改正道交法では、75歳以上の人が免許更新に必要な認知機能検査と高齢者講習について、より厳密に判断力などの診断ができるよう、検査結果によって内容が異なる講習を受けることになった。

 検査で「認知症のおそれ」と判定された高齢者は医師の診断を受け、認知症と診断されれば免許を取り消される可能性がある。

 だが、高齢ドライバーによる事故は今後も懸念される。交通総務課によると、75歳以上が第1当事者の人身事故は昨年1650件。14年は1450件で、上昇傾向だ。県警は免許の自主返納も奨励しているが、担当者は「生活に車が必要な人も多く、返納できない人が多いのも実情」と話す。

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 また高齢ドライバー増加によって免許更新手続きの長期化も懸念されている。

 改正道交法施行で認知機能検査と高齢者講習を別の日に受ける必要が生じ、予約が取りづらくなったことも要因の一つだ。運転免許課によると17年9月時点で、県内の平均待ち日数は検査と講習を合わせ142日と長期化。更新が期間内に間に合わなければ免許失効の恐れもあった。

 県警はこうした状況を改善するため、主に教習所に委託していた認知機能検査を県内の8警察署などでも開始。高齢者講習についても職員を新たに8人採用するなど受講の受け皿を拡大してきた。その結果、18年9月には、待ち日数を全国平均の80日を下回る64日まで短縮できたという。

 同課の山田雅樹課長は「円滑に検査と講習を受けてもらい、自分の認知機能や身体機能の衰えの有無や運転の注意点を速やかに自覚してもらうことが、事故防止につながる」と話す。(笠原真)