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 東日本大震災後に宮城県石巻市の海上で見つかった女川町女川浜の平塚真澄さん(当時60)の遺骨が、異母弟の鈴木正樹さん(47)=青森県八戸市=に引き渡された。切手に残っていた唾液(だえき)の鑑定で身元が特定され、鈴木さんは「家族の元に帰ってこられて良かった」と語った。

 鈴木さんは4月24日、石巻市の霊園を訪れ、遺骨と当時着ていた服などの遺品を受け取った。毎年3月11日に女川で手を合わせてきたといい、「半分あきらめていたが、信じられない気持ち」と述べた。

 鈴木さんによると、平塚さんは広告会社を経営し、東京でスタイリストとして活躍するなど、明るくおしゃれな人だったという。鈴木さんが15歳の時に父の葬儀で初めて会ったが、その後20年ほど文通を重ね、30通以上の手紙を大切に保管していた。

 県警によると、平塚さんの遺体は震災の1カ月後に石巻市の泊浜漁港近くで見つかり、市の霊園の納骨堂で保管されていた。今年3月16日、鈴木さんのいとこの気仙沼市の女性が「私のいとこの異母姉ではないか。遺体の似顔絵と口元が似ている」と警察に通報。鈴木さんの手元に残っていた手紙を県警が調べ、切手から検出した唾液が遺体のDNA型と一致したため、身元がわかった。

 県警鑑識課によると、人間のDNAは温度などによって測定できなくなることが多く、10年前の切手から特定できたのは奇跡的という。県警身元不明・行方不明者捜査班の菅原信一班長は「感無量。身元がわからない残る9体のご遺体も早く遺族に返したい」と話した。(和田翔太)