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医の手帳・胃がん(4)

 胃がんの治療は、がんを取り除くこと、または小さくすることが原則となりますが、がんの進行具合により治療法は異なります。

 進行がんや、早期がんの中でも、転移のリスクがあるものは、外科的手術を第一に検討します。手術は胃の3分の2、あるいは全てを周囲のリンパ節とともに切除します。近年では、体への傷が小さくて済む腹腔(ふくくう)鏡を用いた手術が普及してきています。

 がんが胃の周囲以外にも転移をきたしている状況である場合は、抗がん剤治療により可能な限りがんの進行を抑える治療を行います。近年では新しい抗がん剤も次々に開発され、保険で認可されています。副作用に注意し、看護師、薬剤師など医師以外のスタッフも含めたケアを行っています。

 転移のリスクがほとんどない早期がんの場合は、「おなかを切らずにがんを切りとる」内視鏡を用いた切除が可能です。がんの下の組織を内視鏡ではぎ取る『内視鏡的粘膜下層剝離(はくり)術』という治療法です。胃は温存されるため食生活への影響はほとんどなく、患者さんへの負担が少ないメリットがあります。1週間ほど入院が必要ですが、治療2日後から食事が始まります。特に大きな痛みを伴うことはまれですが、出血や穿孔(胃に穴があく)の偶発症に注意をしながら経過をみていきます。

 この治療では、がんを丸ごときれいに取り除くことが可能で、早期のがんであれば完治を望める治療法です。しかし、別の場所にがんができる可能性は残り、治療後も定期的な内視鏡フォローが必要です。

 ピロリ菌感染率の低下で、今後胃がんにかかる方は少なくなることが予想されます。しかし、現在胃がんは依然として高齢者を中心に患者数、死亡者数の多い病気の1つです。ピロリ菌など発がんのリスクを減らす「予防」と、内視鏡検診にてがんを「早期発見」することが重要です。(おわり)(新潟大学医学部 健康寿命延伸・消化器疾患先制医学講座 橋本哲・特任准教授)