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 文部科学省が全国の小中学校と高校に配布した昨年10月改定の「放射線副読本」を、滋賀県野洲市教育委員会が回収していることが25日、分かった。東京電力福島第一原発事故の被災者への配慮がなされておらず、放射線が安全との印象を受ける記述が多いと判断したという。

 副読本は小学生、中高生向けの2種類ある。放射線がX線撮影に使われていることや、放射線の性質と人体への影響などを説明。福島第一原発事故と復興のあゆみを取り上げている。「(福島第一原発)事故で放出された放射性物質の量はチェルノブイリ原発事故の約7分の1で、福島県が実施した検査結果によれば、全員が健康に影響を及ぼす数値ではなかった」などの記載もある。

 3月の市議会の一般質問で、「人工と自然界の放射性物質を同列のように扱い、(放射性物質が)安全であると印象を操作しようとしている」などと指摘を受け、市教委が副読本の内容を精査。放射線の安全性を強調するような印象を受ける記述が多い▽被災者の生の声が少ない▽小中学生にとって内容が高度――と判断し、回収を決めた。

 副読本は市内の小学校で2113部、市内の中学校で314部を配布したが、これまでに小学校分282部、中学校分203部を回収した。市教委は「子どもたちに伝えるため、今後効果的な副読本の活用を検討したい」としている。

 文科省教育課程課は「改訂版の副読本は避難者に対するいじめを防止する内容が拡充されている。有意義な内容となっており、各学校で判断して活用してもらいたい」としている。

 山仲善彰市長は25日の定例会見で、「丁寧な情報を若い世代に伝えることが大事。市教委の判断は適正」などと語った。(北川サイラ)