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 平成を通じ社会や人間のあり方を問う作品を発表し、時事問題についても積極的に発言してきた作家の高村薫さん。この30年への思いをつづってもらった。

 平成は、日本じゅうが土地投機に踊ったバブル経済の崩壊で始まった。私たちは誰も予想しなかった不景気の不意打ちを食らって突然将来が見えなくなり、国も企業も停滞から抜け出そうと焦り、もがいた。それでも1990年代前半、日本経済はいずれまた上向くと国民の多くが信じていたし、この国にはまだ、細川連立内閣を誕生させて55年体制を終わらせるくらいのエネルギーはあったのだ。

 とはいえ急激な景気後退は、金融機関が抱える巨額の不良債権や、大企業の不正な会計処理といった日本経済の零落を明るみに出し、90年代後半には山一証券や日本長期信用銀行などが廃業に追い込まれて、日本社会は「失われた10年」とささやかれ始めた。

 また、賃金が上がらなくなり、…

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