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ロスジェネはいま

 就職氷河期に社会に出たロスジェネは、40代になっても他世代との格差にさいなまれている。そんな調査結果を発表した研究者の一人、東京大学の玄田有史教授(労働経済学)は、「スネップ」(孤立無業者)という言葉で、この世代が抱える問題を表現している。年齢を重ね、人間関係も絶たれて孤立するロスジェネたちを救うには。「50代では遅すぎる。彼ら、彼女らが30代、40代のうちに、やれることはすべてやる」ことが必要だと語る。

 ――数年前の調査で、ロスジェネにあたる35歳から44歳で、他世代と比べて賃金水準が低いという調査を発表されていますね。雇用の定着率も低い。中年になっても不利益を被り続けていることを知って、どう思いましたか。

 就職氷河期で新卒一括採用を逃すと、その後のチャンスも奪われるということは以前から指摘していました。いわば「溶けない氷河」のようなもので、中高年になっても厳しい現実を突きつけられる。若者のうちに手を打って、できるだけ不安定世代が生まれないようにと訴えてきましたが、こんな結果になって忸怩(じくじ)たる思いです。

 「人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか」(慶応義塾大学出版会)という本を2017年に出版しましたが、これもやはり、中年氷河期世代の問題がかなり大きい。本来は働き盛りで子育て中の世帯は消費が活発なはずなのに、そんな人々にお金が回っていない。

 ――低所得以外に、この世代が抱える問題はなんでしょうか。

 仕事がなく、人間関係からも疎外されて孤立している人が多いという傾向があり、「スネップ」(SNEP:Solitary Non-Employed Persons=孤立無業者)という言葉で問題提起をしてきました。総務省の社会生活基本調査では、15分単位で「誰と何をしていたか」を調べているのですが、これによって孤立で無業の人の割合が分かる。最新のデータでは156万人です。

 元々、若者が多かったのですが、近年は30代、40代で孤立無業状態の人がものすごく増加している。これだけ明確な変化が出ているのは、ただ事ではありません。このようなデータを示し、スネップという言葉を使って、初めて中年ロスジェネの置かれた苦境を理解してもらえる。やはり、言葉というのは大切だと思います。

 ――特定の世代が、このような状況に陥った最大の理由は何でしょうか。

就職氷河期に社会に出た世代に、「ロストジェネレーション」と名付けたのは、朝日新聞です。40歳前後となったロスジェネは今も不安定雇用や孤立に向き合っています。生き方を模索する姿を伝え、ともに未来を考えます。

 ロスジェネの誕生は、新卒一括採用に加えて、既存の正規社員の雇用維持を優先するという日本の労使関係があだになりました。中高年の雇用確保のために若い人のチャンスが奪われてきた面もあります。

 企業内で人を育てるというシス…

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