終身雇用、噴き出す矛盾 「平成は何も変われぬ30年」

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編集委員・真鍋弘樹
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ロスジェネはいま

 年功序列、終身雇用といった日本の雇用システムがロスジェネ世代を生み出した――。ベストセラー「若者はなぜ3年で辞めるのか?」の著者で人事コンサルタントの城繁幸さん(46)は、そう以前から主張し続けてきた。経済界では今まさに日本型雇用が俎上(そじょう)に上っているが、「今後は働き方において、個人と組織との関わりが根本的に変わる」と城さんは考えている。

 「今の雇用は新卒を偏重していて、一度レールを外れた人が正社員として採用されることは少ない。年齢で基本給を決める制度が主流であり、年齢にふさわしい職歴が要求されるためだ」

 《これは最近の談話ではない。今から12年前、2007年の朝日新聞の新年連載「ロストジェネレーション」で、自身もロスジェネ世代の城さんはそう語っていた。日本独特の雇用制度とロスジェネ問題の関連に気付いたきっかけは何だったのか?》

 「私自身は幸い、就職活動に苦労せずにすみましたが、大手電機メーカーに入社してから人事部門で採用を担当するようになり、就職戦線が年々厳しくなっていくのを実感しました。00年に新卒の求人倍率が1を割り、『難関大学』の学生でも普通に就職できない人たちがいました。半面、バブル世代などはその何倍も採用されており、あまり仕事をせずにぼーっとしている社員もいた。これはいったい、何なんだろうと」

 「人事のセクションで経験を積み、日本の人事システムは世界標準とはまったく違うということを知りました。終身雇用を採る日本の企業は、新卒学生の採用を増減することでしか、景気変動による雇用調整ができない。そして数年後に景気が回復したとしても、採用を絞り込まれた世代が救済されるわけではない。日本のやり方は結果として特定の世代が不利益を被り、しんどい思いをすると言い続けてきたのですが……」

就職氷河期に社会に出た世代に、「ロストジェネレーション」と名付けたのは、朝日新聞です。40歳前後となったロスジェネは今も不安定雇用や孤立に向き合っています。生き方を模索する姿を伝え、ともに未来を考えます。

 《新卒一括採用、年功序列…

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