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 東京・池袋の横断歩道で母子が車にはねられ亡くなった事故の報道で、運転者の呼称をめぐり、議論がおきている。逮捕されれば容疑者とされるが、今回は任意捜査だったためメディアが肩書や「さん」付けで報じ、批判の対象になった。また、運転者が逮捕されていないことへの疑問の声もある。

 事故は19日午後0時25分ごろ、東京都豊島区東池袋4丁目の都道で発生。旧通産省工業技術院の飯塚幸三・元院長(87)が運転する乗用車が、赤信号の交差点二つを含む区間を暴走し、通行人らをはね、ごみ収集車に衝突。自転車に乗っていた松永真菜さん(31)と長女莉子ちゃん(3)が死亡し、飯塚元院長と同乗の妻を含む10人が重軽傷を負った。

 捜査関係者によると、飯塚元院長は胸の骨折などのけがを負い、警察官が到着した際には救急搬送を待っている状態で、そのまま入院した。このため警視庁は現行犯逮捕せず、任意での捜査を続けている。

 刑事訴訟法などでは、逮捕の要件に証拠隠滅や逃亡の恐れが挙げられている。総合的に判断して運用され、状況によって異なる。

 飯塚元院長は事故を起こしたことを認め、重要な証拠となるドライブレコーダーや車両そのものを任意提出しており、警視庁は、証拠隠滅や逃亡の恐れがないと判断したという。飯塚元院長の回復を待って改めて詳しく事情を聴く方針だ。

 逮捕されていない事故の加害者をどう表記するか。

 朝日新聞は事故直後の20、21日付紙面(東京本社最終版)では、呼称を「容疑者」とせずに「さん」とし、実名で報じた。逮捕されていない場合などは通常、「さん」などの呼称で報じている。

 また、当初から「関係者によると」として「旧通産省の元工業技術院長」とも報じていた。社会的影響力のある公職に就いていたことを伝えるためだ。その後さらに裏付けを進め、22日付朝刊から端的に元院長の肩書を呼称とした。

 一方、ネット上では21日に神…

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