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 スーパーコンピューターを使い、治療法のない希少な遺伝子変異のがん患者への治療薬を見つけられる可能性がある。慶応大学などのチームのそんな研究成果が、1日付の米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載された。がん細胞の遺伝子を網羅的に調べて患者に合った治療法を探る「がんゲノム医療」の精度を高められる可能性があるという。

 チームは、がん細胞の増殖に関わる「EGFR」という遺伝子に着目。日本人の肺がん患者約2千人のがん細胞の遺伝子を解析した。EGFR遺伝子は約3700塩基からなり、変異の場所や仕方によって薬の効き方が異なる。約8割は変異の場所が集中しているが、残りの2割は変異の種類が多様で、患者数が少なく薬が開発されていないという。

 希少な9種類の変異について、スパコンを使い、変異で生じるたんぱく質の構造変化と、薬の効き方の違いをシミュレーションした。その結果、培養した細胞で薬の効果を調べた実験結果と高い相関があることを確認した。

 チームの安田浩之・慶大専任講師(呼吸器内科)は、一つの遺伝子でも、がん細胞の変異には多様性があり、一つひとつ細胞実験をして薬の効果を確かめるのは難しいと指摘。「スパコンでの治療効果予測は、ゲノム医療で最適な薬を見つける補助的なツールとして使える可能性がある」と話す。(月舘彩子)