「梓(あずさ)会」というグループがある。
天皇陛下が皇太子になって間もない頃、将来に備えて必要な教養を身につけるため、美術や歴史、経済や音楽などに精通する各界の専門家ら約15人が集まってできた勉強会だ。「梓」は陛下のお印(しるし)(皇室の方々が身の回りの品などにつける目印)からとった。
不定期に都内の美術館などで陛下を囲んだ。テーマは毎回変わり、メンバーが自身の研究や活動、出版物などを紹介し、それについて参加者が意見を交わす。毎回4~5時間ほどに及び、陛下がライフワークとして研究を続ける「水」問題関連の専門家ものちに加わった。
メンバーの一人によると、発足のきっかけは上皇さまの一言だった。
「ナルちゃん(陛下の愛称)をよろしく」
1973年、あるメンバーは…