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 テニスの全仏オープン第5日は30日、パリのローランギャロスで行われ、男子シングルス2回戦で西岡良仁(よしひと、ミキハウス)が、地元ファンの心をつかんだ。世界ランキング9位のフアンマルティン・デルポトロ(アルゼンチン)に7―5、4―6、2―6、7―6、2―6で敗れたが、スタンディングオベーションが起きた。

 試合時間は3時間46分を表示していた。荷物を片付けた西岡が、足早に去ろうとすると、場内の音量が上がる。立ち上がった観客たちは、西岡に大拍手を送った。自然と「ヨシコール」までわき上がる。予想外の祝福に、西岡は感謝しながらも、すがすがしい表情でコートを後にした。

 自身初の3回戦進出、トップ10からの勝利がかかっていた。デルポトロは高速フォアに加え、この日のサーブの最速は213キロとパワーが特徴の選手。198センチと打球には角度もつく。28センチも身長が低い西岡は、強いスピンをかけた重いボールやドロップショットなど、持てる限りの球種を駆使して戦った。

 第1セットを先取したが、その後は思惑通りにいかない。相手のフォアを警戒しすぎて、ラリー戦に持ち込もうとしたのが裏目に出た。時間をかけた分、デルポトロに立て直す時間を与えてしまい「安全にいきすぎた」と悔やむ。

 何とかタイブレークで第4セットを奪ったが、勝ちきる力は残っていなかった。「最後、相手はアグレッシブだったが、僕は拾うのが精いっぱい。そこの差が出た」。限界だった。

 当然悔しさはある。だが、強打の選手に対し多彩な球種、軌道の打球が使えるメドが立った。低くて伸びるクロスコートへのバックハンドにも手応えを感じた。「自信がついたし、一回り大きくなれた」と、収穫と成長を語る。

 また、好試合はファン増加につながりそうだ。拍手喝采は、身長170センチと小柄な西岡の真っ向勝負する姿が、地元ファンを魅了した証しといえる。「テレビも含めて、色々な海外の人が見ていただろうし、『おもしろい選手だ』と思ってくれた人がたくさんいたかもしれない。僕にとって今日は大きな試合になる」。今年の全仏は、忘れられない大会になった。(パリ=遠田寛生)