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 ごうごうと音を立てる炎が煙道を川のように流れ、焚(た)き口から薪(まき)が投げ入れられるたびに窯場の天井を火柱が照らす。すべての空気の通り道をモルタルで封じられた窯はれんがの隙間から黒煙を噴き出し、手負いの獣のように苦しむ。4月下旬、能登半島の最北端・石川県珠洲市の山里にひっそりたたずむ陶房「游戯(ゆげ)窯」。深夜0時ごろ、5昼夜にわたる窯焚きはついにクライマックスを迎えた。

 窯の中を酸欠状態にして焼く「還元炎焼成」を経て、珠洲の土は幽玄な黒灰色の焼き物に変わる。釉薬(ゆうやく)をかけず高温で焼き締めた素朴な肌に薪の灰が降りかかり、高温で溶けるとガラス質や灰白色の自然釉となって独特の表情を生む。

 珠洲焼と呼ばれるこの焼き物は12世紀半ばから15世紀にかけて現在の珠洲市周辺で生産され、北陸から東北、北海道に至る東日本の日本海域を広大な商圏とした。だが、15世紀後半に急速に衰えまもなく廃絶。存在すら忘れられていたが、今から40年前の1979年、現代への鮮やかな「復興」を遂げた。

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