[PR]

(6日、プロ野球 ソフトバンク9―6オリックス)

 「ここしかない」

 ソフトバンクの三塁走者の川島が本塁に向かって、スタートを切った。

 一回無死一、三塁の先制機。二盗を狙った一塁走者の周東(しゅうとう)が、牽制(けんせい)に飛び出して一、二塁間に挟まれた。

 勢いをそぎかねない23歳のミス。この場面で、35歳の川島が機転をきかせた。

 周東が塁間で粘るさなか、あるタイミングを待った。オリックス一塁手T―岡田が球を受け、一塁から二塁へ向かう周東を追いかけた。この瞬間だ。

 T―岡田は左投げ。二塁側へ走者を追いかけてから本塁へ投げるには、体を反転する動作が必要になる。その分、右投げよりも送球が遅れがち。そこを川島は見越していた。

 送球を受けた捕手のミットをかいくぐり、間一髪で生還した。川島は「足から入れば、体にタッチされるおそれがあった」。頭から飛び込み、体は少し右側へ流しながら左手で本塁に触れた。細かな技が、成否を分けた。

 結果的に、サインなしの重盗で先制。相手を気落ちさせ、この回の6得点につなげた。川島はいう。「周東が粘ってくれたんで。盗塁は、挟まれることもあるから」

 主に左腕対策で起用され、選球眼よく出塁率は4割を超える。走ってはチームトップ9盗塁の周東に次ぐ4を記録。今季出場は15試合ながら、「まだまだ若い人には負けない」。ミスをカバーする仕事人がいるから、勢いが止まらない。(藤木健