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医の手帳・メタボ(1)

 日本人の平均の栄養摂取量に大きな変化はありませんが、脂肪摂取量は増えてきています。その結果、内臓脂肪型肥満に伴う糖尿病、脂質異常、高血圧などのメタボリックシンドロームが問題となっています。

 日本人は欧米人に比べて脂肪肝になりやすい民族といえます。男性は20歳から、女性は閉経後に脂肪肝の発症率が増加します。

 また、糖尿病患者の死因をみると、約4割はがんで亡くなっており、このうち肝硬変、肝がんが原因で亡くなる患者は13%程度を占めています。肥満は発がんのリスクファクターといえます。

 これまでは肝炎といえばアルコールの多飲やB型、C型肝炎ウイルスの慢性感染が原因と考えられていましたが、現在では非アルコール性脂肪肝炎が最大の問題となっています。脂肪肝の10人に1人は、非アルコール性脂肪肝炎に進みます。今のところ、どのような素因を持つ人が非アルコール性脂肪肝炎になるかは分かっていません。

 また、非アルコール性脂肪肝炎の患者が肝硬変になった場合の、1年あたりの肝発がん率は100人に2人程度ですが、このような患者は心血管病の発症頻度だけでなく、肝臓以外での発がん率も高くなることが明らかになっています。つまり、肝臓が硬くなることは「万病のもと」と考えられるようになってきたのです。

 肝臓の硬さの評価方法として、年齢、AST、ALT、血小板値の数値を使った「FIB-4index」という指標が注目されています。これはかかりつけ医での一般採血から計算が可能です。こうした指標から「肝臓の硬さ」を意識した検診、診察が重要となります。

 さらに精密検査として、新しい血液のバイオマーカー、腹部エコー、超音波エラストグラフィー、MRIなどを使った肝硬度測定法があります。肝硬度の診断が重要な時代となっているのです。(新潟大学大学院医歯学総合研究科 寺井崇二教授(消化器内科))