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 東京電力は9日、福島第一原発1、2号機の共用の排気筒(高さ120メートル、直径3・2メートル)の解体作業を20日から始める、と発表した。8年前の事故発生時に損傷しているため、倒壊しないように年内をめどに上半分を撤去する。事故で飛散した放射性物質で高濃度に汚染された施設の解体は初めて。周辺の放射線量はいまも高く、遠隔操作での難しい作業になる。

 排気筒は、事故が起きた時に1号機の原子炉格納容器の圧力が高まり、外部に放射性物質を含む水蒸気を放出する「ベント(排気)」に使われた。周辺の線量が高く、補修ができないまま放置されてきた。

 排気筒を支える周囲の鉄柱は、複数の場所で破断していたことも発覚。事故で建屋が水素爆発した際の爆風で損傷したとみられる。東電は、再び東日本大震災と同規模の地震の揺れに見舞われても倒壊しないと説明するが、劣化が進んでおり、解体することにした。

 解体作業は、切断用の特殊な装置を大型クレーンでつるし、排気筒の上部から輪切りにしていく。長さ2~4メートルのパーツに切断し、クレーンで地上に下ろす工程を繰り返す。煙突内部に放射性物質の飛散を抑える薬剤をまきながら作業する。

 排気筒の根元付近では、事故直後に毎時10シーベルト超、2015年の調査でも毎時2シーベルトの線量が計測された。福島第一の屋外で最も線量が高く、その場に数時間いると死に至るレベルという。

 東電は作業員の被曝(ひばく)を抑えるため、200メートル離れた場所に大型バスを改造した操作室を設置。160台のカメラ映像を見ながら遠隔で装置を動かす。東電の担当者は「廃炉作業をスムーズに進めるためにも、慎重に作業したい」と話した。(川原千夏子)