[PR]

NPO「フォレシア」を運営 佐藤高輝さん(33)

 「本当の結果が見えるのは50年、100年先。1本目を植える組織になる」。人口減少が続く秋田で、不妊治療と仕事の両立を目指している。自らの使命を森作りに重ね、「フォレスト」(森)と「幸せ」から、立ち上げたNPO名は「フォレシア」に決めた。

 2009年に、小学校からの同級生の妻(33)と結婚した。子どもはずっと欲しかったが、妊娠には至らず。当時、不妊症とされる目安の期間が「1年」であることすら知らなかった。

 13年に会社を辞め、エクステリアの事業を始めた。その頃、知人が不妊治療をしていると知った。「もしかしたら……」。病院へ行くと、医師に「自然妊娠は難しい」と告げられた。

 それから、通院と投薬の日々が始まった。妻も毎週1、2回の通院を余儀なくされた。人工授精は計6回試みた。約1年後に病院を変え、試みた体外受精で妊娠するも、死産に。治療の一時中断を経て、2回目の体外受精でも妊娠した。

 「うれしい半面、最後の最後まで油断できなかった」。不安の中で、16年に念願の長女が誕生。18年には長男も誕生した。

 不妊治療を通して感じたのは「先が見えない」不安だ。頻繁な通院や金銭的な負担に加え、女性は体調次第で急きょ通院が必要にもなる。ただ職場には、治療を受けていると打ち明けられずに悩む女性も多い。

 「仕事場で不妊治療の話はタブーの雰囲気がある。仕事を理由に治療が受けられない環境を無くしたい」。そんな思いから17年にフォレシアを立ち上げた。

 フォレシアでは治療と仕事との両立に関する相談を受け付けている。治療のために仕事を辞めた女性には、実際に仕事を提供している。

 インターネットサイトや出版物の編集など、紹介するのは在宅でできるリモートワークが中心だ。急な通院にも対応が可能で、現在も女性1人がフォレシアを通じて仕事をしている。

 独自のポイントサービスを利用したスマートフォン用アプリも開発した。活動に賛同する各店舗で買い物をしてたまったポイントを、利用者は買い物などに使える。店側にとってもアプリの利用が広告につながるため、店舗からの継続的な支援金の確保につながる。

 アプリ内でも、不妊治療に関する情報発信は欠かさない。不妊について広く知ってもらうことが大切だと考えている。「自分たちの苦労を、次の世代には残さない」(神野勇人)

     ◇

 さとう・こうき 1985年、秋田市出身。秋田工業高を卒業後、設備関連の会社に就職。中学はサッカー、高校はバンドに打ち込む。趣味は読書。3歳の長女が嫌がらずに幼稚園に通い始め、成長を感じた。