また子どもが犠牲に、守る手段は マニュアルあっても…

子どもの交通事故を防ぐ

[PR]

 大津市の県道交差点で8日、散歩をしていた保育園児の列に車が突っ込み、2人が死亡する事故が起きた。子どもの安全をどう守るのか。

 無防備な歩行者が車に巻き込まれる痛ましい事故は東京・池袋や神戸で起き、記憶に新しい。散歩中の園児や登下校中の児童らに車が突っ込む死傷事故も繰り返されてきた。

 埼玉県川口市では2006年、保育園から公園に向かっていた園児らの列に車が突っ込み、園児4人が亡くなり、17人が負傷した。

 市は事故後、市内の全保育園に園外での保育活動の安全確保の徹底を求める通知を出した。園児を引率する道の安全性などを市職員が点検し、危険性があれば園側に迂回(うかい)路を提案したり、警察の協力を得て道路の安全対策を講じたりしたという。

 11年には栃木県鹿沼市でクレーン車が登校中の小学生の列に突っ込み、児童6人が亡くなった。運転していた男は運転中に持病のてんかんの発作を起こして意識を失っていた。

 今回の大津市の事故は車2台の接触が原因とみられる。大阪府寝屋川市で17年、停車中の車が後続の車に追突されてはじき飛ばされ、集団登校中の児童の列に突っ込み、複数の児童が負傷する事故があった。

 大津市幼児政策課は事故を受けて、今月中に開かれる民間保育園長会の定例会でも散歩コースの再点検などを要請する方針。市は07年、保育園などの防災や交通安全に関する危機管理マニュアルを作成していた。園外に出る散歩についてはコースの下見や経路を書いた計画書を作ることなどを定めている。私立の園にも参考として通知していたという。

登下校や散歩中などに園児や児童らが巻き込まれて亡くなった交通事故

2006年9月 埼玉県川口市で散歩中の保育園児の列に乗用車が突っ込み、園児4人が死亡

  07年9月 山形県南陽市で乗用車が登校中の小学生の列に突っ込み、5年男児が死亡

  11年4月 栃木県鹿沼市でクレーン車が登校中の小学生の列に突っ込み、児童男女6人が死亡

    11月 岐阜県瑞穂市で乗用車が登校中の中学生の列に突っ込み、1年男子生徒が死亡

  12年4月 京都府亀岡市で集団登校中の小学生らに無免許の少年の乗用車が突っ込み、女児2人と付き添いの女性が死亡

     5月 大阪市中央区学童保育施設に向かう小学生と付き添いの指導員の列に乗用車が突っ込み、1年女児が死亡

  18年2月 大阪市生野区で下校中に信号待ちをしていた聴覚支援学校小学部の児童らに重機が突っ込み、5年女児が死亡

【動画】園児らが死傷した事故を受け、会見する社会福祉法人檸檬会の前田効多郎理事長ら=紙谷あかり撮影

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら

小さないのちを守るために 子どもの交通事故を防ぐ

小さないのちを守るために 子どもの交通事故を防ぐ

安全の確保は、車を運転する大人の責務です。[もっと見る]