[PR]

 宮崎市の寺原正喜さん(63)が歌人、若山牧水の短歌100首を英訳した本を6月に鉱脈社(宮崎市)から自費出版する。牧水の全集が並ぶ宮崎市の自宅書斎で原稿と格闘し、最終チェックに余念がない。「牧水好きだった亡き父に捧げる一冊になる」と喜ぶ。

 父・巌さんは牧水のふるさと、日向市東郷町坪谷の出身。生前、焼酎を飲んで酔うと牧水の短歌を朗唱するのが常だった。声が出なくなったいまわの際、巌さんの耳元へ「ふるさとの」とささやきかけた。すると巌さんは「尾鈴の山のかなしさよ秋もかすみのたなびきて居り」と精いっぱい口を動かして応えてくれたという。自身も長年、牧水への思いを温めてきた。

 関西学院大文学部でアメリカ文学を専攻。卒業後、公立校と宮崎日大中学・高校で計39年間、英語教師を務めた。2年前、放送大学大学院に挑戦。今年3月、修士の学位を取得した。修士論文で取り組んだのが牧水の短歌の英訳だった。論文を指導してくれた大学院の宮本陽一郎教授から再三、本にするよう勧められ、遠慮もあったが最後は背中を押された。

 本で採り上げる100首は、牧水が残した全15歌集からバランスよく選んだほか、歌集未収録の作品からも選んだ。本は、牧水の短歌と自身の英訳を並べ、牧水ゆかりの地などで撮影してきた写真を添える構成。短歌の背景や英訳についての解説文も掲載し、牧水と英語を同時に学べるように工夫をこらした。将来的には解説文なども英訳し、英語圏の読者に向けて牧水をアピールしていくことも考えている。「本を出してどう評価されるかドキドキです」(伊藤秀樹)