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 米政府が朝鮮戦争(1950~53年)で行方不明になった米兵の遺骨をめぐる米朝共同の発掘作業の実施を当面見送ると決めた。米国防総省が、朝日新聞の取材に明らかにした。2月末のハノイでの米朝首脳会談以降、北朝鮮側と連絡が取れなくなったことが原因という。北朝鮮側が難航する米朝交渉で譲歩を引き出そうと、発掘作業の停滞を図っているとみられる。

 米国防総省捕虜・行方不明者調査局(DPAA)によると、ハノイの米朝首脳会談が物別れに終わって以降、北朝鮮当局と意思疎通が図れない状態が続いた。この結果、DPAAは北朝鮮軍の協力をとりつける想定のもと、2019会計年度(18年10月~今年9月)に計画していた北朝鮮国内における遺骨発掘作業の延期を決めたという。

 昨年6月のシンガポールでの米朝首脳会談では、朝鮮半島の完全な非核化とともに、米兵の戦争捕虜や行方不明兵の遺骨回収に努めることでも合意。北朝鮮は合意に基づき、昨年7月下旬、米兵の遺骨55柱を米国に返還した。DPAAは取材に対し、「我々は次年度における共同発掘作業を計画するため、北朝鮮軍との意思疎通を再開する次のステップを見極めている」とコメントした。

 米国の北朝鮮専門家の間では、北朝鮮が遺骨返還を米朝交渉の交渉カードとして使っている、という見方が強い。米朝共同の遺骨発掘作業は1996年のクリントン政権下で始まったが、ブッシュ(子)政権時に米朝関係が悪化して05年に終了。昨年6月の米朝首脳会談の合意後、米朝間で遺骨の共同発掘作業をめぐる協議が始まっていた。(ワシントン=園田耕司)