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医の手帳・メタボ(2)

 今回は大腸がんと肥満の関係について解説していきます。

 最新の統計によると、わが国では年間約13万人が大腸がんにかかっており増加傾向にあります。2014年には男女合計ですべての種類のがんのなかで第1位となり、非常に関心も高まっています。

 一方、メタボリックシンドロームはもともと虚血性心疾患や脳血管障害といった動脈硬化を原因とする疾患のリスクとして提唱されたもので、特に日本では内臓脂肪が多い肥満に着目して腹囲(男性85センチ、女性90センチ)が基準に用いられています。

 ところが、研究が進むにつれて肥満は動脈硬化だけでなく一部のがんのリスクであることが判明してきました。英国の研究によれば肥満と特に関係のあるがんとして大腸がん、肝臓がん、胆囊(たんのう)がん、膵臓(すいぞう)がん、子宮がん、腎臓がんが挙げられています。特に今回のテーマである大腸がんでは、運動することでリスクが下がることが確実視されており、体形の維持が鍵となる病気と言えます。

 肥満が大腸がんを引き起こす機序として内臓脂肪の関与が考えられています。内臓脂肪とは、おなかの腸間膜(ちょうかんまく)という腸を固定する膜に蓄積したものです。内臓脂肪が過剰に蓄積するとおなかがぽっこりと出っ張った体形になります。この内臓脂肪の蓄積は組織の炎症やインスリン量の増加などをもたらし結果的に腫瘍(しゅよう)の発生につながると考えられています。

 このように、体形に気を付けて予防に努めていきたい大腸がんですが、もう一つ大切なのが早期発見です。大腸がんは早期発見できれば予後の良い病気です。早期発見を目的とした便潜血検査ががん検診として行われています。この検査はがんからの出血を検出するもので非常に簡単に行えます。血液が検出された(陽性)場合は必ず大腸内視鏡検査による精密検査を受け、大腸がんがないか確認することを強くお勧めします。(新潟大学医学部消化器疾患低侵襲予防医学開発講座 特任准教授 水野研一)