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 被爆証言集の刊行を続ける「長崎の証言の会」(長崎市)が今年、発足50年を迎える。被爆者の高齢化が進むが、「今こそ話したい」と新たに名乗りをあげる人は絶えない。証言を記録し伝えてきた半世紀を振り返り、活動継続の礎にしようと、同会は記念誌の発行や集いを計画している。

 会は1969年、「長崎の証言刊行委員会」として発足した。被爆体験の記録を集めた「証言」を年1~4回ペースで発行、昨年で75冊に達した。山口響編集長(43)によると、これまでに収録してきた被爆体験は、のべ1千編を超える。

 創刊号は69年8月9日の刊行。巻頭言で「新しい核戦争への危険と被爆者の権利じゅうりんを告発するための誘い水となることを願って」編集したとうたう。

 平和運動に尽力した被爆医師の故・秋月辰一郎さんも寄稿。被爆体験を記したうえで「人間の歴史にとって人間の良心にとって実に忘れてはいけない大きな傷跡である」と書き残した。

 「証言」では、被爆者の生の声だけでなく、東京電力福島第一原発事故や核兵器禁止条約に関する特集を組むなど、核を巡る時代の動きも追ってきた。

 会では、11月に記念誌を発行、年内に記念の集いを開くことを計画している。記念誌では、初期の活動に携わった人たちの言葉を聞き書きで残し、過去の証言も再録する。いかにして証言を記録する活動が始まり、会員がどんな思いで立ち向かってきたかを記録に残そうという狙いだ。

 事務局長の森口貢(みつぎ)さん(82)は「被爆者として差別を受け、家族にも語ってこなかった人がまだまだいる。核兵器の非人道性を告発し、『核で本当に人間の平和が訪れるのか』を問う活動をこれからも続けていかねばならない」と話す。

 同会は一連の記念事業のための寄付を募っている。目標額は200万円。1口3千円で、寄付者には1口につき記念誌を1冊贈る。寄付は郵便振替(01800・1・4420)で。問い合わせは同会(095・848・6879)へ。(森本類)