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 水俣市は10日、胎児性水俣病患者の滝下昌文さん(62)に、水俣病資料館の語り部を委嘱した。同日、市役所仮庁舎で高岡利治市長から委嘱状が手渡された。滝下さんが加わり、語り部は11人になった。

 滝下さんは1978年と2017年に患者仲間らと熊本出身の歌手・石川さゆりさんのコンサートを実現させた。同年の水俣病犠牲者慰霊式で「祈りの言葉」を述べた後、語り部に推す声が寄せられたことをきっかけに「コンサートでお世話になった人にお返しの意味でも自分にできることをしなければ」と決意。昨年10月31日から「語り部候補」として、いじめに立ち向かってきた自らの生き様を子どもらに語ってきた。

 この日、滝下さんは委嘱状を手にした後、「話すことが不自由になった仲間もおる。体が続く限り仲間の分まで頑張ろうと思う」と決意を述べた。

 語り部は滝下さんを含む11人のうち、高齢などで3人が活動を休止中。元資料館長らが体験を語り継ぐ「伝え手」の取り組みも始まっている。(奥正光)