[PR]

 日朝首脳会談の実現をめざし、今年に入って北朝鮮への非難を抑える日本に対し、人権団体などから懸念の声が漏れている。一方、北朝鮮の強硬姿勢は変わらず、日本が譲歩に見合った「成果」を得られるかは見通せない。

 北朝鮮の人権状況を審査する国連人権理事会の会合が9日、スイスのジュネーブで開かれた。約90カ国のうち日本は開始2時間後に発言。欧米各国が政治犯収容所や言論の自由など多岐にわたる人権侵害の改善を求めたのに対し、日本は拉致問題のみに言及。「早期解決に向けた具体的な行動」を求めた。

 一方で、日本の代表は発言の最後で「日朝は相互不信を乗り越え、互いの協力を深めるべきだ。日本は北朝鮮が明るい未来に向かうよう、共に働くことを呼びかける」とも述べた。

 これに対し、北朝鮮外務省の担当者は「2002年9月の日朝平壌宣言のもとでの我々の真摯(しんし)な努力によって、日本人拉致問題は根本的かつ完全に解決済みだ」と従来の主張を展開。「まだ解決されるべき拉致問題があるとすれば、それは日本の問題だ」と述べ、過去の朝鮮人強制連行について日本は被害者に謝罪と賠償をするべきだとした。

 今回の審査は、理事会が国連の全加盟国の人権状況を調べる「普遍的・定期的レビュー」と呼ばれる制度に基づく。各国が意見や勧告をするのが特徴で、北朝鮮の審査は5年ぶりだった。(ジュネーブ=吉武祐)

〈国連人権理事会〉 世界の人権侵害を防ぎ、国連加盟国の人権順守を支援する国連機関。全加盟国の人権状況を4~5年ごとに審査するほか、人権侵害が疑われる場合、専門家による調査の機会を設けることが多い。人権侵害を認めて出す理事会の決議に安全保障理事会決議のような拘束力はないが、国際社会の意思として重みがある。

提案見送り、官邸が主導

 改善されぬ北朝鮮の人権状況と拉致問題を国際社会に認識させるため、日本政府は08年以降、欧州連合(EU)と共同で人権理事会に対北朝鮮非難決議案を提出し続けてきた。北朝鮮などの人権問題に取り組むヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)日本の土井香苗代表は、「北朝鮮の人権問題を国際水準に引き上げたのは安倍晋三首相の功績だった」と評価する。

 だが、今年3月、政府は突然、人権理事会への共同提案者から降りると発表した。複数の日本政府関係者によると、提案見送りを主導したのは安倍首相の意向を受けた首相官邸だった。

 首相は1月半ば、2回目の米朝…

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら