[PR]

 新たな制裁関税の発動など米国の攻勢を受け、中国の習近平(シーチンピン)国家主席は厳しい状況に追い込まれている。

 昨年12月のアルゼンチンでの首脳会談でトランプ氏との歩み寄りに手応えを感じた習指導部は、その後も「外商投資法」を成立させるなど米国の要求に応えてきた。「合意近し」との希望観測が広がる中で、米国が強硬姿勢に転じたことを、中国外交筋も「想定外」と認める。

 関係筋によると、共産党宣伝部や国家インターネット情報弁公室は、5日に制裁関税発動を予告するトランプ氏のツイートが出た後、ほぼ1日、中国メディアがその内容を報じることを禁じた。翌6日には米国へ発つ予定だった劉鶴氏の出張も延期。この間に、指導部で交渉打ち切りも含めた検討が行われたという。

 しかし、中国が先に席を立てば、巨大経済圏構想「一帯一路」の見直しなど、国際社会の信用を得るために続けてきた協調路線に水を差す。一方、米国への譲歩は国内での「弱腰」批判につながりかねない。

 結局、劉氏の訪米期間を短縮させ、協議の「継続」に持ち込むしか選択肢はなかった。

 中国外務省の耿爽副報道局長は10日の会見で「健全で安定した中米関係が両国の利益であり、国際社会の期待だ」と、従来の姿勢に終始。外交筋は「打開策があるわけではない。しばらくは持久戦だ」と語った。(北京=冨名腰隆)