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 家族や友人が、がんと診断された時、どう接して、どう支えればいいのでしょう。周囲はまず、患者の気持ちを受け止めることが重要といいます。同じように不安を抱える、患者の家族への支援も求められます。

 鹿児島県に住む女性(46)は、がん検診を受けて乳がんがわかった。わきの下のリンパ節にも転移があり2016年の年末、乳房を全摘する手術を受けた。再発予防のために数年間のホルモン療法を続けている。

 ある友人に手術をしたことを話すと、「つらいときは話してもいいんだよ」と言ってくれた。しかし「再発が怖い」と打ち明けると、「悪いことだけ考えちゃダメ」「いいことに目を向けなきゃ」と返された。「元気な人にはわからない薄い壁があるように感じてしまった」と女性。その友人とはその後、疎遠になってしまったという。

 一方、学生時代からの友人は「本当の気持ちは分からないけれど、これからも一緒にいっぱい旅行したい。元気になってほしい」と伝えてくれた。女性は「温かさを感じた」と振り返る。

 国立がん研究センターの加藤雅志・がん医療支援部長によると、多くの人はがんと診断された直後、「死んでしまうのではないか」という絶望感や「何で自分が」という怒りなど、整理できない感情がわき上がるという。

 少し落ち着くと、不安や恐怖、いろんなことができなくなる喪失感や無力感に襲われる。個人差はあるが、数カ月程度かけて日常生活に適応していく。ただ、その後も再発への不安などがふとした瞬間に強まることがあるという。

 加藤さんは「患者さんにとっては、自分でも処理できない今後の不安を理解してもらうことが重要。周囲は寄り添い、患者の気持ちを受け止めることを心がけてほしい」と指摘する。

 余計な詮索(せんさく)はせず、普段通りに接しながら、不正確な話や自分の価値観を押しつけないことも大事だという。安易な励ましもかえって患者のストレスになる恐れがある。「前向きに」「弱気になるな」「もっと頑張れ」などという言葉はかけないほうがいい。

 患者が困っているときや助けを求めてきたときはそれを受け止め、「そうだよね。そういう気持ちになっちゃうよね」などと理解を示すことが大切という。

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 センターは17年、がん経験者約500人にインターネットで調査し、病気を打ち明けた際の患者に満足感を与えた友人の反応を分析した。「じっくり話を聞いてくれた」「一緒に不安を分かち合ってくれた」などの反応で、親密度や信頼感が増していた。満足感が低かったのは、根拠のない気休めや励ましだった。

 調査をしたセンターのがんサバイバーシップ支援部の土屋雅子研究員は「一概に『これを言えば満足する』というものではなく、共感的な対応が重要」と指摘する。

 センターは、友人にがんを打ち明けられた際にどう対応したらいいか、寄り添うコミュニケーションや声かけの方法などを学べるプログラムを作成中だ。

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