[PR]

 未返還の奨学金をめぐり、日本学生支援機構が保証人に半額しか支払い義務はないと伝えずに全額請求している問題で、すでに全額を返し終えた保証人ら4人が14日、半額を超えた約650万円の返金など総額約880万円を求める訴えを東京地裁と札幌地裁に起こした。機構によると、この問題で保証人側が提訴するのは初めて。

 奨学金では、借りた本人が返せない場合に備え、連帯保証人(親)と保証人(4親等以内の親族など)を1人ずつ立てる。民法で各保証人は等しい割合で義務を負うとされ、本人と同様に全額を負う連帯保証人とは異なり、保証人には半額の支払い義務しかない。「分別の利益」と呼ばれる。

 機構は、分別の利益は保証人が申し出るべきで、それ以前に払われた分は半額を超えていても法的に有効なため、返金できないとしている。

 原告側は「保証人の支払い義務の半額を超える請求は法律上の理由がなく、不当利得にあたる」と主張。違法な全額請求によって精神的苦痛を受けたとして損害賠償も求める。

 めいが借りた奨学金約922万円を全額返した保証人(72)は東京の会見で「(機構側は、分別の利益を)伝えれば事実上、半額しか回収できなくなると言っており、悪質だ」と話した。弟の約102万円を肩代わりした保証人(37)は「真面目に返し終えたほうが(分別の利益を)認められず、返している途中なら認められるのが引っかかる」と話した。札幌で会見した保証人(73)は、教え子の奨学金約93万円のうち約64万円を支払った。「支払いを求める際には法律を振りかざすのに、自分たちは法を守らない。機構は正しいことをやってほしい」

 機構は「訴状を確認できないため、コメントは控える」としている。

 朝日新聞の取材によると、機構は2017年度までの8年間で延べ825人の保証人に未返還分の全額、計約13億円を請求し、返還に応じなければ法的措置をとると伝えていた。(諸永裕司、武田啓亮)