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 福祉や社会保障のサービスを受けるには、役所に出向き、面倒な書類をそろえ、自分で申請するのが原則だ。しかし、必要な人に必要な支援が届いていない。このままでいいのか。

赤石千衣子さん しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長

 私はひとり親の当事者グループで、さまざまな相談にのったり、福祉制度を利用するための手続きの手伝いをしたりしています。福祉制度の多くは、役所に行って書類を書き、証明書類を提出し、自ら申請しなくてはいけません。その大変さは、私がひとり親になった約40年前から全く変わりません。

 あるシングルマザーが引っ越しをして役所での手続きをするのに、付き添った時のことです。庁内を行きつ戻りつ、転入届と児童手当、児童扶養手当、生活保護の申請で半日が過ぎました。それでもまだ、保育園の申し込みなど必要な手続きが終わりません。また別の手続きの日には、幼い3人の子どもも一緒で、最後には子どもたちは疲れて泣き叫んでいました。

 ハラスメントのような書類や窓口対応もあります。たとえば児童扶養手当の毎年の更新時に、交際中の男性や妊娠の有無を確認されます。事実婚関係の男性から扶養されている場合は対象外となるためですが、職場であればセクハラとなる質問であり、また、交際したら扶養されるわけでもありません。屈辱を受けた女性は困っても行政に相談しようとは思わなくなります。

 このように、対象になる人がある程度限られるような福祉制度を利用する少数者ほど、多くの書類を求められる構造があります。個人でなく世帯単位の状況の証明を求められることも、手続きを複雑にしています。「お金をもらうのだから仕方がないだろう」とする差別意識と、それを受忍せざるをえない側の事情が背景にあります。そこでは、福祉を利用するのは権利であることが、隠れてしまっています。

「複雑な迷路」のような制度が貧困の連鎖を招いているという赤石さん。後半では、誰もがアクセスしやすい制度のあり方や申請のハードルを下げるための意識改革について考えます。

 日本の福祉政策は、政治のせめ…

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