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医の手帳・メタボ(3)

 肝臓に脂肪が過剰についた状態を脂肪肝と呼び、肥満や飲酒と深い関連があります。肥満が原因の場合、一昔前までは「ただの脂肪肝」として重要視されてきませんでした。ところが、こうした脂肪肝の患者さんの一部が肝硬変・肝がんに進むことがわかり、飲酒以外が原因の脂肪肝は「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」として注目されるようになりました。

 NAFLDでは肝硬変になる患者さんとそうでない患者さんの区別が難しいことがあるのですが、肝臓の硬さを測ることがその手助けになります。従来は肝生検という検査で硬さを判定していましたが、局所麻酔をして肝臓に針を刺すため入院が必要でした。近年、注目されている「超音波エラストグラフィー」は外来で検査可能で、針も刺さず痛みもありません。ただ、今のところ測定機のある施設が限られています。日本人の約30%が脂肪肝とも言われる中、全ての患者さんでの測定は難しいのが現状です。

 そこで、健康寿命延伸・消化器疾患先制医学講座では、肝臓の硬さを推測する「FIB―4 index」を利用した試みを開始しました。一般的な採血検査で簡単に計算できる数値ですので、健診に組み入れてリスクの高い患者さんを見分け、「超音波エラストグラフィー」を行う計画です。

 NAFLDを始めとした肝臓病は、肝硬変や肝がんにならない限り目立った症状がないため病気という自覚を持ちにくく、受診の機会を逃してしまう場合があります。毎年の健診に「FIB―4 index」を取り入れることで関心を持って頂くとともに、硬さ測定を効率的に行うことで、肝硬変・肝がんを未然に防ぐことを目標としています。脂肪肝は単に脂肪がついているだけではなく、肝硬変や肝がんの原因になりますので、かかりつけ医や専門医に相談しながら、適切な診療を受けることが大切です。(おわり)(新潟大学医学部 健康寿命延伸・消化器疾患先制医学講座 横尾健・特任助教〈消化器内科〉)