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 幻が見える、怒りっぽい、不安になる――。こんな認知症の行動や心の動きにどう向き合ったらよいのか。多くの家族や介護・医療職から成功例や失敗例をネットで集めてデータベース化し、知恵を共有しようと、東京医療保健大学や大阪大などの研究チームが取り組んでいます。認知症の対応に悩む人を支えるために開発された、その内容とは……。

 「80歳の女性が車の運転をやめることにしたのに、乗ってしまう。親戚を集めて説得したが、うまくいかなかった」。データベースに集まっているのは、このような事例だ。研究チームが2016年に開設したサイト「認知症ちえのわnet」(http://chienowa-net.com/別ウインドウで開きます)だ。

 認知症の人を介護する家族や介護・医療職の人たちが、認知症の人の行動や症状にどう対応したのか投稿してもらう仕組み。これまでに約1500件の投稿があったという。認知症の人の要介護度なども登録してもらい、どんな行動や症状に対して、どんな対応法が有効であったのか、なかったのかを入力してもらう。投稿をもとに、専門スタッフがうまくいった割合(奏功確率)を割り出している。

 たとえば、「物忘れ」の項目にある「薬を飲み忘れる」への対応。「カレンダーを利用」の奏功確立が約61%と高かったのに対し、「薬の日付の書いた箱にセットする」は約40%だった。

 「食事を食べたことを忘れる」への対応では、オーソドックスに「食べたことを説明する」が75%と高かったほか、「食器などをすぐに片付けずにそれを見せる」も約67%だった。

 「最近のできごとを忘れる」への対応では、「忘れた出来事をわかりやすく言葉で説明する」が、症例は投稿件数は6件と限られるが、100%うまくいっていた。

 「幻覚・妄想」の項目では、「物を盗(と)られたと言う」場合に対して、「家族が管理していると伝える」は割合に低く、約24%にとどまった。「怒りっぽい・興奮・暴力」の項目では、「些細(ささい)なことで怒る、突然怒り出す」に対して、「話を聞く」は50%だった。

 主任研究者の数井裕光・高知大教授(神経精神科)によると、おおむね臨床上の経験と照らし合わせても大きな食い違いはなかったという。

 一方、従来の経験から予想される結論に反するものも見えてきたという。たとえば、「幻覚・妄想」の項目中、「物が人や顔などに見える」では、「見間違えている物を除去する」という対応への奏功確率が93%と非常に高かった。従来は幻視だと考えられていたが、他のものを見間違えるという錯視の可能性を示しているのだという。

 「家族の顔を見ても他人だと思…

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