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 総人口約5億人の欧州連合(EU)の加盟28カ国で、5年に1度の欧州議会選挙が23~26日、実施された。大勢は日本時間の27日朝、判明する見通しだ。英国のEU離脱(ブレグジット)の動きなど、最近、後ろ向きの話題が多いEU。統合の行方に影響を与える重要な選挙になる。

ポイントは、(1)EUから離脱するはずの英国が参加する(2)欧州議会、実は大事な判断をしている(3)会派は国別ではなく、参加28カ国にまたがる(4)EUに懐疑的な議員が勢いを増している(5)EUは評価されているのに投票率が低い。以下、詳解します。

 欧州議会選は、市民がEU全体の法律づくりにかかわる議員を直接選ぶ機会だ。1979年に始まり、今回が9回目。現在、定数は751で、人口比などで各加盟国に議席数が割り振られる。最多はドイツの96、最少はマルタやルクセンブルクなど6だ。

 例えばドイツでは今回、96議席に約1380人が立候補した。職業は会社員や教員、医者、記者、技師、主婦など多士済々だ。

■1 EUから離脱するはずの英国、なぜ参加?

 73議席を割り当てられている英国だが、今回の選挙はいつもと様相が違う。ブレグジット議論のまっただ中の選挙だからだ。

 「EUを離脱すれば英国はまた誇りがもてる国になる。この海は全部私たちのものになる」。4月下旬、英東部の港町クラクトン。「ブレグジット党」のファラージ党首がEUの共通漁業政策を批判すると、集まった数百人がわいた。

 実質的には4月にできたばかりの党だ。だが、英国の約2千人を対象にした最近のある世論調査で、欧州議会選の投票先に34%がブレグジット党と回答。2位の労働党(16%)を引き離した。メイ首相の与党・保守党は10%で5位だった。

 3月末でEUを抜ける予定だった英国は、今回の欧州議会選に参加しないはずだった。だが離脱条件をめぐって英議会で議論がまとまらないまま、離脱は10月末に延期になり、EU加盟国である以上、欧州議会選への参加義務が生じた。

 離脱支持者の中には、長引く混乱に加え、EUと緊密な関係を続けようとする2大政党への不満がたまっていた。そこへ、かつて英国独立党を率いたファラージ氏が新党をつくり、不満の受け皿となっている。

 英国にとって今回の欧州議会選は、改めて離脱方針を市民に問う場だ。離脱がさらに長引けば、EUのあり方を否定するブレグジット党議員が欧州議会で、EUの方向性を決める議論に参加することになる。

 欧州議会は、EUの政策決定上、重要な役割を担う。かつて諮問的な役割だったが、1993年以降、EUの統合深化とともに基本条約が改正され、権限が徐々に強化された。市民の意見を反映させる場を増やし、EUの民主的な側面を強化する狙いがあった。

 EUでは、加盟国の大統領や首相ら首脳による「EU首脳会議」が最高意思決定機関として、政治的な方向性を決める。これを元に官僚機構の「欧州委員会」が実際の行政運営を担う。

 欧州委がつくった法律や予算の原案に対し、加盟国政府の閣僚でつくる「EU理事会」と「欧州議会」が同等の立場で修正を求められる。2月に発効した日EUの経済連携協定(EPA)も、欧州議会が深く議論に関わっている。

■2 そもそも欧州議会は、何をしている?

 フランス東部ストラスブールに…

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