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【まとめて読む】患者を生きる・食べる「がんと口内炎」

 再発した乳がん治療のため、6種類目の抗がん剤の点滴を始めた女性(62)。数日後、唾液も飲み込めないほどの激痛に襲われます。副作用の口内炎のためでした。入院した病院の歯科を受診し、つらい症状を和らげるために大切なのは何か、指導されます。

激痛、唾液ものみ込めず

 それは、唾液(だえき)をのみ込むことすらできないほどの、激痛だった。

 埼玉県に住む女性(62)は2018年9月、再発した乳がんの治療のため、東京都内のがんの治療を専門とする病院で、抗がん剤の点滴を受けた。

 女性は左胸に乳がんが見つかり、03年に手術を受けた。10年間の経過観察を続けた後、地元のクリニックで年1回の検診を受けていたが、16年秋、再発と肝臓への転移がわかった。

 病院では別々の抗がん剤を順番に使い、今回の薬が6種類目。その初めての治療だった。「今度は私に合った薬に出会えるかな」。病室のリクライニングチェアに寄りかかり、点滴を受けながら、眠りについた。

 だが、帰宅の2日後から食欲が落ち、38度を超える熱が出た。これまで使った薬でも同じような副作用の症状が起きることはあった。いつもは病院から出された薬を使えば、だいたいおさまる。「今回も数日繰り返すのかな」といった程度に考えていた。

 数日すると、口内炎ができはじめた。処方されていた塗り薬をつけ、痛みをがまんしながら、食べやすい雑炊をつくって食べた。だが良くならず、唇の裏側、舌の付け根や横側が腫れた。疲れた時などに起こる口内炎と違って広範囲で、舌を動かすだけで激痛が走るようになった。

 ゼリー状の栄養補助食品を口をすぼめて吸い込むことすら、痛みがこわくてできない。手で押し出して器に出してから、スプーンですくって一口ずつ食べた。

 痛みはどんどん強まり、唾液すらのみ込めなくなった。口にたまった唾液をティッシュで吸い取っては、外に出す。そんなことを繰り返した。痛みがひどく、十分に食事もとれなかった。「口を開けると、のどの奥のほうまで口の内側が突っ張るような感じでした」

 点滴から6日後、翌日の通院を控え、実家に来てくれた長女(28)に、女性の夫(60)は告げた。「全然食べられないし、しゃべることもできないぞ」。口の中の痛みで女性は会話もままならない状態だった。何より、体力が落ち、起き上がることも難しくなっていた。

歯科で処置、舌が動くように

 埼玉県の女性(62)は昨年9月、再発した乳がんの抗がん剤治療の副作用で、口内炎が出来た。激しい痛みで、食事を取れず、会話もままならなくなった。

 抗がん剤の注射から1週間後は、検査のため、治療を受けている東京都内のがん専門の病院に行く日だった。だが、準備の時間になっても女性は寝室で起きられなかった。痛みで口が動かせず、声も出せない。「熱がある」「予約の時間には間に合わない」「水を少ししか飲めていない」。付き添いのため、実家に帰っていた長女(28)に、こう筆談で伝えた。

 長女は病院に電話で状況を伝え、予約した時間には遅れる、と話した。まもなく病院の担当者から電話があった。「熱が高く、感染症の心配もある。遅くなってもいいので、病院に来てください」

 解熱剤をのみ、熱が少し下がっ…

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