【動画】東京無線協同組合の営業部長がタクシー社名表示灯の変遷を語る=竹谷俊之撮影
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 東京都内には、天井が低すぎて通りにくい「タクシー泣かせ」のガード下がいくつかある。車の屋根の上にある社名表示灯(通称・提灯(ちょうちん))が壊れないよう、社名灯のデザインを変えたり、小さくしたり、タクシー業者は工夫を重ねてきた。東京タワー型のデザインでおなじみの「東京無線」もその一つだ。

 東京都内のタクシー会社でつくる「東京無線協同組合」(総車両約3700台)は、緑色の東京タワー形の社名灯を1989年から使い始めた。以前は紺色だったが、視認しやすくするために緑色にしたという。当時の高さは24・5センチだった。

 乗り心地をよくするため、トヨタ自動車が従来の車より車高が5・5センチ高い151・5センチの「コンフォート」を95年に発売。社名灯メーカーの武内工業所が都内のガード下を調べると、天井が低くて社名灯が壊れる恐れのある場所があることが判明し、東京無線はデザインを変えることにしたという。

 変更後のデザインは、東京タワー形の上部をカットした。高さが19・5センチと17・5センチの2タイプを用意。通称「提灯殺しのガード」とも呼ばれる港区の「高輪橋架道橋」のほか、大田区や江東区などにある高さ制限1・8メートル以下のガード下も通れるようになった。東京無線の小道一弘営業部長は「できるだけ遠回りすることがないよう、お客様にとって合理的なルートを通れるように工夫した結果」と話す。

【動画】高さ制限1.5mの線路下ガード「高輪橋架道橋」を、車で走ってみた=竹谷俊之撮影

 2007年からは東京タワー形の上部をカットせずに、全体的に一回り小さくしたデザイン(高さ17・5センチ)を導入した。タクシーを立体駐車場にとめるケースが増えており、業界全体として、社名灯を小さくする傾向があるという。

 タクシーの車高自体は、さらに高くなっている。トヨタが17年に発売したタクシー専用の新型車「JPN(ジャパン)タクシー」は、乗り降りしやすくするために車高175センチの箱形の車だ。武内工業所によると、社名灯を屋根の中央ではなく、屋根前方の低くなった部分に付ける例が増えているという。

 タクシー業界の悩みの種だった高輪橋架道橋は、JR山手線の新駅「高輪ゲートウェイ駅」の開業に伴う再開発で、24年をめどに新しい道路に付け替えられる予定だ。天井の高さは4・7メートルとなり、車道の幅も広がる。小道部長は「タクシーが通りづらかった場所が、通りやすくなるのは我々としても歓迎です」と話している。(鈴木康朗)