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 水俣病をめぐる国家賠償請求訴訟の被告である環境省の求めに応じ、日本神経学会(東京)が、メチル水銀中毒症に関して同省の考えに沿う内容の見解を出したことについて、同学会に所属する医師15人が「学会員への周知もないまま進められた」などとして、内容や経緯を問う要望書を先月、同学会に出していたことがわかった。同学会員の川上義信・水俣協立病院長らが17日、熊本県水俣市内で記者会見し明らかにした。

 15人は全日本民主医療機関連合会(民医連)に加盟する関東などの医療機関の医師で、水俣病患者らの診察などを担ってきた。要望書は「学会員には今回の回答と経緯に関する情報は提供されていない」と批判。同省との交渉経過や検討した資料を明らかにするよう求めた。

 これに対し同学会は先月末に文書で回答したが、川上院長は「環境省との交渉過程が不明」「(見解に関わった)ワーキンググループの構成員を明らかにしていない」とし、内容が不十分と批判。「水俣病の研究をしている人の意見を聞き、議論していく必要がある」と述べた。再質問を現在検討しているという。

 同学会の見解は、環境省が昨年5月7日付の文書「メチル水銀中毒に係る神経学的知見に関する意見照会(回答依頼)」で同省の考えを明示したうえで、同学会に意見を求めたもの。同学会の回答は①症候は短期的に変動することはない②メチル水銀の曝露(ばくろ)停止から発症までの潜伏期間は数カ月からせいぜい数年という考え方が現時点では定説――など、同省が示した考えに沿う内容だった。

 この見解には水俣病の患者・被害者団体などでつくる水俣病被害者・支援者連絡会やノーモア・ミナマタ被害者・弁護団全国連絡会議が強く反発。同省や同学会に公開質問状を出した。(奥正光)