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 「『異教徒の作ったものは使うな』という言葉をネットで読み、SNSで広めた。私は法を犯した」

 指定の灰色ジャージーを着たウイグル人男性(24)は、入所のきっかけをそう振り返った。記者を前にした緊張からか、表情は硬い。

 中国・新疆ウイグル自治区カシュガル地区の「疏勒県職業技能教育訓練センター」。中国政府がウイグル族などがイスラム教の過激思想に染まるのを防ぐためだとして、各地に設置する施設の一つだ。

 だが、それらの施設をめぐっては、虐待や拷問など深刻な人権侵害が行われているとの疑いを国際人権団体や米国政府などが指摘している。

 男性のセンターでの生活は9カ月目に入ったという。告白は続いた。

 「友人や家族にも『国家に従うな』と強要した。過激思想に染まっている自分には気づかなかった」

 センターへ行くよう男性に促したのは、地元の共産党幹部だった。「本来、刑を受けなければならないが、施設に入れば免除される」。そう諭され、入所の申請書類にサインしたのだという。

 「強制された」のかと問うと、男性はつぶやくように「自発的に来た」と答えた。そのやり取りを、そばに立つ地元政府関係者が見続けていた。

 「過激思想を取り除き、仕事を見つけるための最高の環境を提供している」

 そう言って胸を張るママト・アリ学長(45)に、「入所を拒否することは可能か。断るとどうなるのか」と詰め寄ると、学長はしばらく黙り込んでこう言った。

 「そんな人はいない。いたとしても、裁かれて終わりだ」

     ◇

 中国政府は4月17、18の両日、新疆ウイグル自治区内の2カ所の訓練センターを、朝日新聞のほか米ロ韓シンガポールの各1社と中国メディア4社に公開した。取材先として、イスラム礼拝所(モスク)やバザールなども組み込まれた。取材は政府・党関係者の監視下で行われ、記者の質問を制限したり、取材相手の応答を遮ったりしたことはなかったが、自由行動は認められなかった。記事の検閲は受けていない。(カシュガル地区(新疆ウイグル自治区)=冨名腰隆)