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 愛知県岡崎市の瀧山寺(たきさんじ)が所蔵する十一面観音菩薩(ぼさつ)立像の制作者が、鎌倉時代前期に活躍した仏師快慶か、快慶工房内の仏師である可能性が高いことがわかった。多摩美術大の青木淳教授(日本美術史)が20日発表した。X線調査などの結果、仏像の構造が快慶初期の作品に似ているという。

 十一面観音菩薩立像は高さ約50センチ。愛知県史によると、ヒノキとみられる針葉樹を使い、鎌倉時代に造られたとされる。体の部分は金泥が塗られている。山田亮盛住職によると、作者は不明だった。

 青木教授が約2年かけ、全国の快慶作とされる仏像や類似した約20体をX線調査。その過程で、文化財には指定されていない十一面観音菩薩立像を調べ、ほかの仏像と比較。胎内に納入品を入れるための後頭部の仕掛けが、快慶の技法に類似していたという。

 さらに、X線画像には脚部胎内に長さ8センチほどの巻物のようなものが3本写っていた。胎内に納入品があることも快慶作品の特徴とされ、こうした共通点から快慶作品か快慶工房での作品と判断したという。青木教授は「タイムカプセルをのぞき見ることができたのは喜びだ。快慶周辺の足跡を考えるきっかけができた」と説明する。

 奈良国立博物館の岩井共二研究員(仏教彫刻史)によると、関係者の間では快慶系統の作品という説が有力だった。岩井研究員は「歴史的な位置づけにおいて大きな意味があり、文化財としての価値が高まるのではないか。今後、快慶系仏師の研究を補強するだろう」と話す。

 また、瀧山寺の三尊像の一つで、平安時代末期から鎌倉時代初期に活躍した運慶と、その息子の合作といわれる「帝釈天(たいしゃくてん)立像」(国指定重要文化財)もX線調査したところ、胎内に箱のようなものが納められていることが判明したという。(小川崇)