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 高校野球の春季岩手県大会は18日、1回戦が同県野田村のライジング・サン・スタジアムなどであり、高校生史上最速の163キロを記録した右腕、佐々木朗希(ろうき)(3年)を擁する大船渡は延長戦の末、釜石に4―5でサヨナラ負けした。「みちのくの剛腕」を一目見ようと、大勢の観客が詰めかけた。

 同点の十回無死満塁、白球が左前へ抜けていく。右翼の守備位置についていた佐々木はサヨナラ安打を見届けると、無表情のまま整列に向かった。「悔しいです」と声を落とした。

 この日は「4番・右翼」で先発出場。一回に4点を先行されても、八回に同点に追いついた後も、投球練習をせず、マウンドに上がることはなかった。

 国保陽平監督は春の大会を、こう位置づけていた。「チームの総合力をあげ、佐々木朗希一人に頼らず、他の投手の気持ちを固める春にしたかった」。佐々木はマウンドを仲間に託し、4番に専念していた。

 この日は4打数1安打。投げられなかったことよりも打撃のことを反省した。「チャンスで一本出なかった。(夏までに)絶対打てるようにしたい」

 4月上旬にあった高校日本代表の研修合宿。佐々木は高校生史上最速をたたき出し、知名度が一気にはねあがった。この大会では豪速球を一目見ようとする観衆で球場が埋まった。そんな周囲の期待をよそに、17歳の思いは、投げたいよりも勝ちたいだった。

 佐々木は、一度も東北地区大会と甲子園を経験しないまま、高校最後の夏を迎える。「今はできることを見つけて、試して、それを埋めていきたい。夏は甲子園を目指します」と言い切った。(御船紗子、小俣勇貴