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 釈迦が亡くなった(入滅)ときの様子を描いた鎌倉時代の涅槃図(ねはんず)が5月24日から、愛知県一宮市の市博物館で公開される。一宮市の妙興寺が所蔵する国の重要文化財で、市博物館によれば、現存する鎌倉時代の涅槃図では国内最大級。公開は26日まで。

 公開されるのは「絹本著色(けんぽんちゃくしょく)仏涅槃図」(縦約3・3メートル、横約2・9メートル)。釈迦が右手を折り曲げて顔の前に置いて横たわっている姿が描かれ、その周りを弟子たちや象、獅子などの動物が囲んで、嘆き悲しんでいる。市博物館学芸員の石黒智教(とものり)さんによれば、中国絵画の写実的な技法を採り入れた鎌倉時代後期の特徴がうかがえる。長年、京都国立博物館(京都市東山区)に寄託されてきたが、昨年2月から一宮市博物館に寄託されることになった。

 涅槃図の左下に、「泉涌寺(せんにゅうじ)」と読み取れる墨書きがある。裏面にも「泉涌寺常住」「涅槃像」と太字で墨書きされた紙が貼られ、もともとは泉涌寺が所蔵していたとみられる。

 泉涌寺(京都市東山区)は「御寺(みてら)」とも呼ばれ、皇室との縁が深い寺だ。応仁の乱(1467~77)で伽藍(がらん)がほぼ焼失。涅槃図はその混乱で一時紛失した可能性が高い。裏面には、応仁の乱の直後の1478年、涅槃図が買い取られて泉涌寺に寄付された記録や修理記録も残されている。妙興寺に移った時期や経緯については不明だ。

 色がはがれ落ちるなど修理が必要な状態だが、現状を見てもらいたいという妙興寺の意向で一般公開が決まった。石黒さんは「古い鎌倉時代の絵図で戦乱によって一時紛失しながら、その来歴がわかる貴重な作品だ」と話す。

 一般200円、高・大学生100円、小中学生50円。25日午後2時からは、愛知教育大学の鷹巣純教授(仏教絵画史)による解説も。先着30人。問い合わせは一宮市博物館(0586・46・3215)へ。(田中章博)