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 治すのが難しい「スキルス胃がん」の患者会で理事長を務め、勉強会を企画する轟(とどろき)浩美さん(57)。活動の原点には、2016年に亡くなった夫の哲也さん(当時54)を支えた日々があります。ニンジンジュースをめぐるバトルを乗り越え、ある思いにたどり着いたといいます。

 夫は2013年12月、区のがん検診をきっかけにスキルス胃がんがわかりました。その前日、検診の読影をしている会場の医師から電話がありました。「急を要するので、明日すぐ病院に来てください」

 翌日、夫が1人で病院に行きました。私は仕事だったからです。職場の幼稚園にかかってきた電話で、夫から「がんだってさ。桜は見られないって」と告げられました。CTなどの検査を受け、ステージ4のスキルス胃がんだと診断されたんです。受話器を置き、ひざががくがく震えました。その後は、子どもの前で泣くわけにはいかない、このことだけで頭がいっぱい。一日中何をしていたのか、何も覚えていません。

 実は診断される1年前から、夫は何度も胃の不調を訴えて医療機関を受診していました。胃のエックス線写真で精密検査が必要になり、胃カメラの検査も受けましたが、慢性胃炎との診断でした。スキルス胃がんは、胃壁と呼ばれる胃の周りを覆う筋肉層の中に広がっていく。胃カメラで見ても表面の粘膜に現れにくくて、見つけにくいそうです。見つけにくく、治りにくいがんがあるなんて、当時は知りませんでした。知っていたらこの1年間の行動は変わっていたと思います。

「おまえが見ているのはニンジンだけ」

 「去年あんなに訴えていたのに」と、それまでの医療機関でがんを見つけられなかったことに限界を感じ、診断後に私は、民間療法に走ってしまいました。

 治療法がない、という残酷な現…

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