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 イラン原子力庁は20日、同国にあるウラン濃縮施設の低濃縮ウランの製造能力を4倍に増強すると発表した。イランが8日に核合意の履行を一部停止し、低濃縮ウランの保有上限を順守しないと宣言したことを受けた措置とみられる。7月上旬までに原油取引などで改善が見られなければ、本格的な核開発を再開する姿勢も示しており、核合意当事国の英独仏などに圧力をかける狙いもある。

 イランメディアによると、同庁の報道官が20日に「遠心分離機の数を増やすことなく、(同国中部)ナタンズの施設での低濃縮ウランの製造能力を4倍にする」と表明。国際原子力機関(IAEA)に通知したことも明らかにした。

 核合意では、イランの低濃縮ウランの保有上限は300キロと定められている。だが、ロハニ大統領は米国が核合意から離脱してから1年が経過した8日、報復措置として、この上限に縛られない意向などを表明した。核合意にとどまる意思を示す一方で、製造能力を増強し、上限を超える準備を始めたことを明確に示したとみられる。

 米国が2日にイラン産原油の全面禁輸に踏み切ったことで、イラン経済はますます窮地に追い込まれている。このため、ロハニ師は英独仏などに原油取引の継続などを要求。「60日以内に目的が達せられないなら、さらなる履行停止を進める」と、無制限のウラン濃縮などを開始する可能性をちらつかせ、核合意の当事国を牽制(けんせい)している。だが、欧州企業は第三国の企業も対象となる米制裁を恐れてイランとの取引には消極的で、状況が改善する見通しは立っていない。(テヘラン=杉崎慎弥