長崎)石木ダム用地 強制収用認める裁決 地権者ら反発

原口晋也、森本類
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 石木ダム(川棚町)の建設予定地に暮らす住民の土地を、県が強制収用できるようになった。地権者に土地明け渡しを命じる県収用委員会の21日の裁決。建設に反対する住民は「ここまでして事を運ぶ必要があるのか」と反発し、推進派も「強制収用は最後の手段」として、慎重に対応を進めるよう行政側に求めた。

 「冷静な政治的判断が必要。世論の反発で県は窮地に陥るだろう」。ダム予定地に暮らす「石木ダム建設に反対する川棚町民の会」代表の炭谷猛さん(68)は農作業の手を休めて、こう話した。炭谷さんは4月の町議選で計画反対を訴えてトップ当選したばかり。自身の当選に対する県の焦りが背景にあるのではないか、との見方も示した。

 一方、佐世保市議会の石木ダム建設促進特別委員長を務めた長野孝道市議(72)は、裁決について「企業誘致などに多量の水が必要。推進派としてはよかった」と受け止めた。「40年以上も膠着(こうちゃく)が続く状況は好ましくない」としつつ、強制収用は「最後の手段」と捉え、まずは地権者らとの話し合いを慎重に進めていくことを県側に求めた。

 川棚町議会の石木ダム対策調査特別委員長を務めた田口一信町議(70)も「裁決前に移転に応じてもらうのが一番円満な方法だと思ったが……。法にのっとった手続きなので仕方ない」と語った。「町民の安全のためのダムだとの理解が進んでいない」として町に更なる説明を求めていく考えだ。事業主体の県と佐世保市の担当者は「裁決書が届いていないのでコメントできない」と話した。(原口晋也、森本類)