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 阿蘇地域の草原で、この時期にだけ姿を見せるチョウ、オオルリシジミが舞っている。草の上で瑠璃色の羽を広げる姿や、産卵する姿も。小顔につぶらな瞳、しましまの触角も愛らしい。

 国内では阿蘇周辺と長野県の草原にのみ生息。環境省の絶滅危惧種のリストに入り、熊本県は条例で希少野生動植物に指定し捕獲を禁止している。

 東海大農学部の村田浩平教授(昆虫学)によると、もとは大陸と日本列島がつながっていた頃に由来するチョウ。阿蘇では、食草となる植物がある草原が野焼きや放牧によって維持されており、種の保存に重要な役割を果たしてきた。野焼きの時期、多くのサナギは地中で過ごし、草が伸びてくる5月上旬ごろに羽化する。

 村田教授によると、生息数は放牧の減少や不法採取などの影響で、最盛期の10分の1ほどに減少。2016年の熊本地震で牧野の土砂崩れや野焼きの中止が相次ぎ、さらにその半分ほどになった。今年の生息調査では、「地震前に回復してきた地域がある一方、まだ戻っていないところもある」と村田教授。「今が保全に一番重要な時。少しでも不法採取されてしまうと大変」と話す。

 希少なチョウを守るため、東海大の学生は不法採取のパトロールなどの保護活動を2013年から続けている。(後藤たづ子)