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 中国政府は省庁横断的に若者などの就職対策に取り組む「就業工作領導小組」を設立し、胡春華副首相がトップの組長に就いた。政府は米中貿易摩擦などによる景気の冷え込みが失業者を増大させ、社会不安につながることを懸念しており、対策を強化する構えだ。

 小組は「グループ」を意味し、重要課題に機動的に対応する目的で置かれる。今回は労働政策を担う人力資源社会保障省のほか教育省、退役軍人省など約20部門の担当者が参加。雇用政策全体を調整し、長期計画の策定や政策実施状況の監督などを行うという。

 米中貿易摩擦の影響も受けて景気の減速が続くなか、習近平(シーチンピン)指導部は就職対策を重視している。昨年7月の共産党政治局会議では経済成長を持続させ、社会不安を招かないための「六つの安定」政策が示された。中でも就職の安定は金融や貿易より重い課題として筆頭に位置づけられた。

 この時期に新たな組織を立ち上げる背景には、中国の大学や高校が卒業シーズンを迎えることもある。今月13日に北京で開かれた高卒生の就職対策会議は、「状況は複雑かつ深刻だ」との認識を示したうえで、農村から都市への出稼ぎ労働者となる「農民工」の急激な大移動を防ぐ必要があると強調。李克強(リーコーチアン)首相は「就職圧力は依然高く、特に高卒生は最高値だ」と危機感をあらわにした。

 15日に発表された4月の失業率は5・0%で、高水準が続く。政府は今年3月の政府活動報告で、今年の都市部の新規就職予定者が1100万人を超えるとし、調査ベースの失業率は「5・5%前後になる」と予測している。(北京=冨名腰隆)

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